ある家族の介護

ある家庭で、お母様の介護を一手に担っていたのは長女でした。
病院の付き添い、施設探し、毎日の食事や身の回りの世話──時間もお金も精神力も注いで、最後まで寄り添いました。

一方で、兄と姉は仕事を理由にほとんど介護に関わりません。
「それでも、相続のときは同じ取り分なの?」──長女の心には、不公平感が残ります。

親族などの一定の関係にある人がいる場合は、その親族に対して扶養義務が課されますが、履行せずとも罰則はないのです。


法律の現実:「寄与分」と「遺留分」

民法には、介護など特別な貢献をした人を評価する「寄与分」という制度があります。
しかし、認められるための要件は厳しく、実際に金額として反映されるケースはごく一部。多くの場合、わずかな調整にとどまります。扶養義務がある親族には介護は一般的な扶養義務の範囲となり、特別な寄与とは認定されないことが多いのです。

さらに厳しいのが「遺留分」。
兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の取り分が保障されていますが、この計算に「介護の貢献」は考慮されません。
つまり、長女がどれだけ尽くしても、兄や姉は遺留分を主張できるのです。


相続争いがもたらすもの

「遺留分侵害額請求」が起きると、解決までに1〜2年、長い場合は5年もかかることがあります。
その間、時間的・精神的な負担は大きく、兄弟の仲は決定的に壊れることも少なくありません。
請求された側は防御しかできず、ストレスは計り知れません。


未来を変えるための選択肢

では、どうすれば「介護した子が報われない」という不公平を防げるのでしょうか?
いくつかの対策があります。

  • 公正証書遺言
    介護した子に多めの財産を残す意志を明文化する。

  • 生命保険の活用
    介護を担った子を受取人に指定し、費用や労力を補填する。
    「現金不足リスク」を補う目的で生命保険を活用すべき。

  • 家族信託
    口座凍結や不動産売却不能のリスクを回避。
    信託契約で承継先を指定すれば「介護貢献を加味した財産分け」が可能。

  • ライフプランシミュレーション
    介護費用が不足しないよう、事前に資金計画を立てる。


介護と相続に“ありがとう”を込める

介護は「お金」「時間」「心」の負担を伴い、家族の絆を試す局面です。
しかし、法律はその努力を必ずしも評価してくれるわけではありません。

だからこそ、生前からの準備が大切です。
遺言や保険、信託を通じて「感謝の気持ち」を形にすれば、残された家族が争うことなく、互いに「ありがとう」を伝えられる相続につながるでしょう。

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