家族信託とは?認知症・相続トラブルを防ぐ新しい生前対策のかたち
はじめに:ある家族の不安から始まった話
70代のAさんは、都内で収益不動産を所有するオーナー。
これまで安定した家賃収入で悠々自適な生活を送っていました。
ところが最近、こんな不安を感じるようになりました。
「もし自分が認知症になってしまったら、この不動産はどうなるのだろう?」
息子は会社員で忙しく、いざという時に管理や売却ができるのか心配。
そんなAさんのように、“将来の資産管理”に不安を感じる方は年々増えています。
日本では長寿化が進み、判断能力の低下による資産凍結リスクが深刻化しています。
そこで今、注目されているのが「家族信託」という新しい仕組みです。
家族信託とは?その基本的な仕組み
家族信託とは、財産の所有者(委託者)が信頼できる家族(受託者)に管理を任せ、
その利益を受け取る人(受益者)を決める契約のことです。
例えば――
Aさん(委託者・受益者)が、息子(受託者)に自宅や収益不動産の管理を託すケースでは、
名義上の所有者は息子になりますが、利益(家賃収入など)は引き続きAさんが受け取れます。
つまり、名義と利益を分けることで柔軟な財産管理が可能になるのです。
家族信託が選ばれる理由
家族信託は、従来の制度(成年後見・遺言など)にはない柔軟性が魅力です。
| 制度名 | 主な目的 | 特徴・課題 |
|---|---|---|
| 成年後見制度(法定) | 判断能力喪失後の保護 | 財産は裁判所の管理下。自由な活用が難しい。 |
| 任意後見制度 | 事前に後見人を選定 | 発動後は家庭裁判所の監督が入り、柔軟性に欠ける。 |
| 遺言 | 死後の財産承継 | 承継先は指定できるが、生前管理はできない。 |
| 家族信託 | 生前~死後まで一貫管理 | 判断力低下後も家族が管理・運用可能。承継の順番も決められる。 |
家族信託の代表的な活用例
① 認知症・判断能力喪失への備え
Aさんが認知症になったとしても、息子が代わりに不動産の管理や売却を行えます。
信託契約の中で「将来の不動産仲介会社」まで指定しておけば、
手続きの遅れやトラブルも防げます。
② 遺産承継対策
「配偶者に一度相続させ、その後は妹の家系へ継がせたい」
といったように、**承継の順番(一次・二次・三次)**を決めておけるのが家族信託の強みです。
これは通常の遺言ではできません。
③ 相続税対策の補助
家族信託そのものは節税制度ではありませんが、
「建物を建築中に判断能力が低下しても計画を継続できる」など、
相続税対策を“止めない”仕組みとして機能します。
④ 親なき後・配偶者なき後の問題
障がいのある子や高齢の配偶者、ペットなど、
本人亡き後も生活支援が必要な場合に活用できます。
受託者(家族など)が財産を管理し、必要に応じて生活費を交付できます。
家族信託の注意点と専門家の関与
家族信託は便利な制度ですが、注意すべきポイントもあります。
-
受託者(家族)に大きな責任が生じる
-
遺留分や課税関係への配慮が必要
-
登記や契約内容のミスが大きなトラブルにつながる
そのため、信託の設計は司法書士・税理士・不動産コンサルタントなど専門家の連携が不可欠です。
また、税務署や金融機関との調整も必要なケースがあります。
まとめ:家族信託は“家族の思いやり”から始まる生前対策
家族信託は、単なる法的スキームではなく、
「家族が家族を想う気持ちを形にする制度」です。
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判断能力の低下後も財産を守りたい
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相続トラブルを避けたい
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家族の生活を長期的に支えたい
こうした願いをかなえる柔軟な仕組みとして、家族信託は注目を集めています。
まだ認知度は高くありませんが、**今後の生前対策の“新常識”**となっていくでしょう。
📌 ポイントまとめ
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家族信託は「生きている間」から活用できる柔軟な制度
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成年後見や遺言ではできない「将来の財産承継設計」が可能
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専門家のサポートを受けて、自分に合った仕組みを設計することが大切
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